トランプ・プーチン電話会談 30日間停戦合意できず エネルギー施設への攻撃停止のみ合意

 プーチン・ロシアによるウクライナ侵略。ドイツの次期首相就任が確実視されるキリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は3/18(火)、国防費の増額などを可能にする基本法(憲法)改正案について、「ロシアの対ヨーロッパ戦争」に対処するために必要だと訴えました。メルツ氏は改正案の採決を前に議会でロシアによるウクライナ侵略について、「ウクライナ侵略戦争にとどまらず、対ヨーロッパ戦争だ」と述べました。ロシアの侵略には「EU(ヨーロッパ連合)の分裂と孤立化を狙った」サイバー攻撃やスパイ活動、放火、契約殺人、偽情報キャンペーンなども含まれると説明。現在のヨーロッパは「侵略的なロシア」と「予測不能なアメリカ」に直面していると指摘。ドイツは厳格な債務抑制策を定めていますが、メルツ氏の改正案は、GDP(国民総生産)比1%を超える国防費を抑制策の対象外とします。今後12年間のインフラ投資のための5000億ユーロ(約82兆円)の特別基金設立も盛り込まれました。

 プーチン大統領は3/18(火)、トランプ大統領との重要な電話会談を前に、西側を露骨に批判。G7(先進7カ国)は「地図上で確認するには小さ過ぎるとし、西側の優位性は「失われつつある」と主張。ロシアが2022年2月にウクライナに全面侵略したのを受け、西側はロシアに広範囲にわたる制裁を発動した。ロシア大統領府(クレムリン)はこれを、「ロシア経済を破壊する違法な試みだ」と批判しています。

 トランプ大統領とプーチン大統領は3/18(火)、電話会談を行いました。ロシアによるウクライナ侵略を巡り、アメリカが目指した30日間の全面的な即時停戦をプーチン大統領が拒否し、エネルギー施設への攻撃を即時停止する部分停戦での合意にとどまりました。アメリカ・ロシアは3/23(日)にサウジアラビアで高官協議を開き交渉を続けますが、隔たりは大きく、早期の和平は遠のいたとの見方が出ています。公表されている両氏の電話会談は2月以来。トランプ大統領によると、電話会談は約2時間続いたとしています。トランプ大統領は会談後、SNSへの投稿で電話会談が「とても良く、生産的だった」とし、「全てのエネルギーとインフラ(社会基盤)での即時停戦で合意した」と述べました。和平プロセスに関し「素早く行動を取る」考えを共有したと強調。大統領府の発表によると、エネルギー施設への攻撃停止に限定した30日間停戦をトランプ大統領が提案。プーチン大統領は受け入れ、エネルギー施設への攻撃を止めるよう軍に命令を出しました。紛争解決に向けて米露の専門家グループの設置でも合意したとしています。アメリカ側は会談後、両氏が紛争を永続的な平和により終わらせる必要があると一致したと発表し、「平和への動きはエネルギーやインフラへの攻撃の停止から始めることで合意した」と表明。黒海での戦闘停止や完全な停戦などについて中東で交渉を始めるとしました。アメリカのウィトコフ中東担当特使は3/18(火)、アメリカ・ロシアの高官協議が3/23(日)にサウジアラビア・ジッダで開かれると述べました。ロシア政府によると、電話会談では、プーチン大統領は停戦に前向きな姿勢を強調した一方、先にアメリカとウクライナが合意した30日間停戦案については、ウクライナの再軍備の恐れがあるとして拒否。「危機の根本原因」の排除と、ウクライナの中立化や非軍事化の必要性を主張しました。アメリカ・ロシアで会談内容の発表や言及に食い違いもあります。ロシア側はエネルギー施設への攻撃停止期間を30日間と明示したが、アメリカ側は触れませんでした。ロシア側はウクライナへの軍事支援や情報共有の停止を求めたと発表していますが、トランプ大統領はアメリカメディアのニュース番組で否定しました。

 ウクライナメディアによると、ゼレンスキー大統領は3/19(水)、トランプ大統領と同日中に電話会談すると明らかにしました。ウクライナでの停戦を巡る3/18(火)のアメリカ・ロシア首脳の電話会談について、トランプ大統領が説明する見通し。ゼレンスキー大統領はエネルギー施設への攻撃停止を歓迎する一方で、「アメリカからもっと詳細な情報が必要だ」と述べました。ウクライナ侵略中、ウクライナのエネルギー施設への壊滅的な攻撃を行っています。ウクライナもドローン(無人機)を使ってロシアの石油施設を何度も攻撃しています。トランプ大統領とプーチン大統領の電話会談の数時間後、ウクライナでは爆発音と空襲警報が鳴り響いきました。ゼレンスキー大統領は、スーミ州の病院などの「特に民間インフラが攻撃を受けた」と説明。「ロシアによるこうした夜間の攻撃が、ウクライナのエネルギー部門やインフラ、国民の日常生活を破壊している」「プーチンはきょう、全面停戦案を事実上拒否した」と非難しました。

 ヨーロッパ諸国は、ウクライナへの侵略を続けるプーチン大統領が全面停戦に応じず、西側諸国などによるウクライナへの軍事支援や情報提供の完全な停止などを和平合意の条件として提示したことについて、同国への「安全の保証」やヨーロッパの対ロ防衛態勢を骨抜きにする意図があるとみて警戒を強めるのは確実。首相府は3/18(火)、アメリカ・ロシア電話首脳会談について「停戦およびロシアとウクライナとの交渉実施に向けて前進を果たした」として歓迎の意を表明。一方で首相府は、一連のプロセスが「ウクライナの公正かつ恒久的な平和につながらなくてはならない」と指摘し、「ロシアが再び無法な侵略に踏み切ることのできないよう、最後までウクライナを支え続ける」と表明しました。ドイツのショルツ首相は3/18(火)、ベルリンでのマクロン大統領との会談後、アメリカ・ロシアがウクライナでの停戦に向けてエネルギー施設への攻撃停止で合意したことについて「最初の一歩になる」と評価しつつ、ウクライナの頭越しに米露が和平協議を進めてはならないと指摘しました。マクロン大統領は「停戦は検証可能でなくてはならない」とし、イギリス・フランスなど有志国連合による平和維持活動を念頭に停戦監視の必要性を訴えました。また、ウクライナの恒久的な平和には同国への安全の保証が必要だと強調。

 ウクライナメディアによると、ウクライナ軍報道官は3/17(月)、ザポリージャ州で「激しい戦闘が続いている」と明らかにしました。ロシア軍は東部ドネツク州を優先的な攻略目標に定めて攻勢を続けてきましたが、3月以降、ザポリージャ州でも露軍の攻撃が強まっているといいます。

 ウクライナ政府は3/19(水)、ロシア軍が前夜から翌朝にかけて、ミサイル6発とドローン(無人機)145機で攻撃を仕掛けたと発表。当局は、1人が死亡し、病院2か所が損壊したと報告しています。ウクライナ空軍は、攻撃を仕掛けてきたロシア軍のドローン145機のうち72機を撃墜したと主張しています。

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